解決事例 相続放棄
父親の死亡後3年も経って、突然、父親の債務の返済を請求されたが、相続放棄の申述により支払いを免れた事例
相続放棄の申述 債務返済の請求がきた 支払いを免れた
ご相談者様
40代女性
父親の死亡後3年経過
事件の概要
ご依頼者は、突然送り付けられた内容証明郵便で、3年前に亡くなった御尊父に約500万円の借金が残っていたことを知らされ、「あなたはお父さんの借金を相続したので返済をしてほしい」と請求されました。
しかしご依頼者にとっては寝耳に水の話でしたので、ただただ驚き、慌てて、当事務所に来所されました。
解決への道筋
「相続」は死亡した人の預貯金や不動産等の資産だけではなく、借金や損害賠償債務といった負債をも相続人に承継させる制度です。つまり、親の借金の相続もあり得るのです。
弁護士の調査によると、ご依頼者のご尊父は、生前、友人の経営する会社の借金の保証人を引き受け、その会社の倒産により借金を肩代わりしましたが、そのことを家族に内緒にしていました。
そして、お父さんの財産では肩代わりしきれなかった保証債務が、今度は相続人であるご依頼者に請求されたのでした。
このようなケースでは、家庭裁判所に「相続放棄」(民法939条)を認めてもらえば、保証債務の相続を免れることができます。
民法では、「相続放棄」は「自己のために相続開始があったことを知った時」から3ヶ月以内にしなければならないこととされています。この3ヶ月間のことを「熟慮期間」と言いますが、財産の調査に時間がかかる場合には「熟慮期間」の延長が認められます。また、「自己のために相続開始があったことを知った時」つまり熟慮期間のスタートが何時なのかについては、相続人に酷にならないような解釈・運用がなされています。
本件のご依頼者は、金融会社から請求を受けるまで、ご尊父が保証債務を残して亡くなったことを全く知らなかったし、そのことを調べる方法もありませんでした。このような事情が考慮されて、ご依頼者のお父さんの死亡から3年も経っていましたが「相続放棄」が認められ、結局保証債務の相続を免れることができました。
弁護士活動のポイント
ご親族が亡くなられてずいぶん時間が経ってから、そのご親族の負債が相続人に請求されるケースは少なくありません。
突然の請求に慌てて、債権者に言われるがままに書類に印鑑を押したりせず、亡くなられた方の負債の存在を知ったならば、まずは弁護士にご相談ください。